【沢井製薬株式会社様】見積プロセスを効率化し、戦略的な調達組織をつくりあげたい

沢井製薬株式会社様
業種
医薬品
年商
1,843億円
年間購入点数
10,000点以上
購入品目
医薬品の直接材
ジェネリック医薬品業界をリードする沢井製薬株式会社。直接材の調達を担当している購買部では、「見積プロセス」がアナログなまま残されており、その業務効率化が長年の課題であった。また、2020年に多くの新製品発売が見込まれていたため、見積依頼品目の増加による業務負荷への対策が急務となっていた。同社では、RFQクラウドの利用により、見積プロセスの業務工数を70%削減することに成功。また、見積データベースの構築により購買組織のレベルアップを実現している。品質のよい原材料を適正価格で調達することで、「なによりも患者さんのために」の理念に沿った組織体制を整えていく。
課題
見積プロセスがアナログなままで、業務負荷が大きい
煩雑な作業により「価格の妥当性判断」に集中できていない
ゴール
見積プロセスの業務効率化
2020年の制度改革に向けた購買業務の仕組み化
戦略的な調達組織をつくりあげたい
導入効果
約70%の業務工数の削減に成功
標準化された「価格の妥当性判断」の仕組みを実現
求められることが変わっても、仕事の仕方は変わってなかった
———RFQクラウドをご検討される前の、沢井製薬さんのご状況を教えてください。
澤田マネージャー A1Aさんとお会いする頃、ジェネリック医薬品業界は政府が掲げた数量シェア80%の使用促進策の達成を目前に控え、「急激な成長」から「緩やかな成長」へと移行していました。加えて、政府が打ち出した抜本的薬価制度改革による影響が 2020 年から顕著になるということもあり、これまでにない環境変化が起こり始めていました。弊社購買部としても、これまで以上の原価管理・コストリダクションを目指して、迅速に変革していくことの必要性を感じていました。
類家様 これまでの見積プロセスは、次のような一連の流れで行われていました。メールや電話でサプライヤへ回答を依頼し、紙媒体やPDFで見積受領。査定は煩雑に保管されているデータの中から過去見積書を探して選定資料を作成、プリントアウトした紙に上長の捺印をもらい承認される。その後、電子ファイルとして保管する。これらに相当な時間がかかっていました。
また、見積査定業務でもかなりの負荷がかかってしまっています。単価設定から見積の購入ロットなどの見積情報は各社各様の形式で送って来られます。このメーカー提出様式のままで査定を行うことはできないので、データ整理を行うところから始まります。過去の価格推移や類似品目との比較をする必要がある為、過去に保管された見積から必要なものを検索・選別し、数字を転記する必要があったりして、余計な時間がかかってしまっていました。仕事の目的がある意味で「価格妥当性の判断」ではなく、「選定資料の作成」になっていたのです。
澤田マネージャー 購買・調達に関わる業務というのは10年以上変化がありませんでした。現行基幹システムの導入検討は2010年にスタートしました。その当時の要件定義に合わせた業務の仕方が今も残っており、先ほどのような課題は解決されないまま残されていました。
しかし、「原価管理」「コストリダクション」など、求められることは変わってきている。「働き方改革」でメンバーの残業も減らしていくので、業務内容も変えていかなければならないと考えていました。
10年前の仕事の仕方と現在のあるべき姿、特に見積プロセスでミスマッチが起こっていると強く感じていましたね。この状況を早期に解消したいと強く思っていました。 さらに、中長期的な目線でいうと、戦略的なコストリダクションを実現していける調達組織を作りたいと考えていました。手配業務がメインとなっている状態から早く脱却して、「調達企画」などの仕事に注力できるようにしなければならないと思っていました。
見積プロセスの現場の悩みを解決する、RFQクラウド機能群

———システム導入の検討では、RFQクラウドのどのようなところを評価していただけたのでしょうか。
澤田マネージャー 展示会で初めてお見かけしたとき、コンセプトを非常に絞りこんでいて、分かりやすいと感じたのを記憶しています。他の企業は発注や検収、経理システムまで手を広げた大きな範囲をカバーした購買システムを提供しているけれど、RFQクラウドは「購買見積に特化しています。これを解決します!」というのが明確でした。
そして「購買担当者を煩雑な業務から解放し、戦略的な業務にシフトさせる」というテーマが、まさに私が求めていたものにジャストフィットしていたのです。その日のうちに私からメールを送るとすぐに返信がありました。詳細を聞きたいという話になり、すぐにテレビ会議の予定が組まれました。
お打合せした時に、同じベクトルを持って仕事ができる方たちだなと感じました。サプライヤー選定を長年経験してきたからかもしれませんが、ファーストインプレッションで“行ける!”と感じた時は結果的にそのプロジェクトは成功していますね。まさしく今回もそうでした。
杉友様 弊社としても、スピード感を持ったシステム導入でした。意思決定も導入までも早かったですし、稼働も含めて考えると相当な短期間でしたよね。
本プロジェクトにおいては、他の4つのシステムとで比較検討していました。が、他社製品は必要以上の機能が装備されており、その分コストも高く投資対効果獲得のビジョンが長すぎました。圧倒的に安価であり、且つ求める機能を十分にカバーしていたというのは、RFQクラウドを選んだポイントのひとつです。
また、仮に導入してうまくいかなかったとしても、オンプレミス型システムは「資産」となっているので、一度入れてしまうと廃棄するわけにはいかず、10年くらい利用していかなければなりませんよね。一方クラウドでは、月額・年額で試すことができるからマッチしなければ「解約」という選択がありますし、いきなり全社導入ではなくミニマムスタートもできる。これはかなりのリスクヘッジですよね。もちろん、エラーや不整合があったとしても無償バージョンアップなどで改善してくれますし、要望も出せます。それでいて投資額はオンプレミス型システムの10分の1、20分の1で済むのも大きな利点です。
さらに、RFQクラウドの場合は、現行の基幹システムのリプレイスではなく、足りていない部分に対してサブシステム的に導入しようというものです。全社的にシステムを総入れ替えする必要はなく、検証しながら徐々に拡大していくことができるのも取り組みしやすかったです。
———機能面などでの他社との比較はどうでしたか?
類家様 良い意味で「直感的に理解しやすいデザイン」を追求されているというのが最大の評価点です。その証拠に、サプライヤーからの操作についての問い合わせはほとんどありません。必要な機能を必要なだけ盛り込んでいて、非常に洗練されているなと感じました。
システム会社に勤めていた経験から思うのですが、どうしてもシステムって複雑化していきがちで、新しい技術を取り入れたいだけで実際は機能せずに持て余してしまう、ユーザー目線ではないシステムが多い気がします。RFQクラウドは、そのあたりをとてもよく気を付けて作り上げているシステムだなと思っています。
見積業務を実際に行っている担当者たちには、「見積の入力項目が各品目に合わせてフレキシブルに変更できる」というところが好評でした。見積項目が固定化されるのって、非常にクリティカルな問題ですよね。品目ごとに欲しい情報は異なるので一つのフォーマットでは対応しきれない。外部環境が変わっていけば、見積の項目もどんどん変わっていくものなので、柔軟に変えていかなければならない。そういうところも加味して、フレキシブルにフォーマットを作り変えられるようにされているのが、とても良かったです。
また、RFQクラウドでは見積明細と併せて、単価以外の情報を提出してもらうことができますよね。たとえば、リードタイムや為替決定タイミング、規格など。これらを把握しておくことは、製品の安定供給と品質を守っていく上でとても重要です。これを見積と一緒に管理でき、最新の状態を維持できるようになりました。こちらに関しては検討初期には見越していなかった機能ですが、とても助かっています。
業務工数70%削減、購買調達を高付加価値業務へシフトさせる
———実際には、どのような導入効果が見られましたか?
類家様 導入初期の価値として期待していたところは見積プロセスの業務効率化ですが、今回大きく改善できました。特に、サプライヤーとのコミュニケーションやデータの共有はメールを通じて行っていましたが、RFQクラウドではクラウド上でこれを完結し、自動的に整理された状態で保管することができます。 ですので、過去の膨大な資料をキャビネットから引っ張ってきたりとか、過去の担当者に聞いていったりなどというムダな業務がなくなり、自分で完結できるようになりました。活用したいデータはカンタンにアクセスすることができます。これにより、今まで1案件に65分程度かかっていた見積プロセスを、20分程度に抑えることができています。
また前述の通り、紙で行っていた業務でしたが、ペーパーレス化も実現できました。今まではこういった見積査定の資料を作ることや手配業務に忙殺されてしまい、それが仕事の目的となっていましたが、今は他のところに気を配る余裕ができてきたと思います。
澤田マネージャー こういった業務軽減が図れ、メンバーの意識が変わり始めたというのは、大きな一歩だと思っています。ですが、A1Aさんはこのシステムが業務効率化を図るツールとなることをゴールに置いていないと思いますし、我々もそこを目指していません。
RFQクラウドの本来の価値は、見積データがもっともっと溜まっていき、過去を振り返ることができるようになって初めて現れて来るはずです。過去データを利用しやすくすることで、今まで時間と手間をかけていた査定業務への精神的ハードルが大きく下がります。心と時間にゆとりが生まれると、見積査定やコスト低減策などに対して、メンバーの考え方も変わって来ると思います。
実際に変化の兆しはあります。「適正単価はこれです」ということを表現できるようになってきました。メンバーとの相談はそれを踏まえた上での内容に変わり始めています。このやり取りで単価を見直して、単価が下がったアイテムもあります。査定相談の質がワンランク上がった実感はありますね。
これから、一人ひとりが調達スキルを向上して行って欲しいです。そうなれば戦略的な購買調達を行える組織に変わっていくはずです。実は購買部に対して、新たな取組課題も設定されています。「原材料のさらなる複数化の推進」、「開発段階からの原価企画の徹底」などです。私たちは効率化が図れた時間をこういった課題の企画・実行に時間を費やしていかなければなりません。
杉友様 情報システム部門の成功でいうと、クラウドシステムであるがゆえに、導入にあたっての情報システム部門の導入コストを抑えることができました。
オンプレミスのシステムは製品のライフサイクルを考えて調達計画を立てていかなければいけませんが、クラウドだとそれが不要になるので、スピード感ある思い切った投資判断をできます。こういった背景から、システムはどんどんクラウドに移行していくというのが、情報システム部門の方針となっています。
まだミニマムスタートしたばかり。全社への展開を目指す
——中長期を見据えて、どのような取り組みを期待されていますか?
澤田マネージャー 導入初期は、調達額に最もインパクトのある原薬(有効成分)の見積依頼で取り組みました。次は、査定業務が煩雑な「包装資材」で有効活用していこうと考えています。業務効率化という意味ではもっと効果が出てくるはずです。そして、購買部が成果を出していくことで、沢井製薬全体にRFQクラウドの活用を展開していければと思っています。
「根拠をもって適正単価で買えているのか」というのは、購買部だけでなく、業務委託や間接材の調達を行う部門に共通する課題だと認識しています。導入を後押ししてくれた管理部門の担当者からも横展開を図って行って欲しいと言われました。購買部だけで終わらせるつもりじゃないよね?と(笑)
今まさに第四次産業革命に入っていて、仕事の仕方を変えていかなければならなくなっていますよね。日本はAIなどのIT、ビックデータの活用が周回遅れだと言われています。私たちもこの潮流に必死で付いていかないといけないと思っています。安定している時は動いた方がリスクとなるかもしれません。しかし、これだけ世界が大きく動いていている時には、止まっている方がリスクだと思いますね。
他業界に比べると、製薬業界は動かない風潮があるように感じています。そうならないように強く意識して仕事しています。他の業界ではどういう風に仕事しているのかということにも、すごく興味があります。そういう情報を収集していきたいですよね。
たとえば、A1Aさんでも今後の開発モジュールとして挙げられている「サプライヤー評価」。これは今後最も重要視している取組の一つです。製薬業界ではあまりやっている話を聞かないのでのですが、自動車や電機業界では当たり前のようにやっているような話も聞きます。同じ調達の業務であるけれど、完全に業界ギャップがある。他業界の良いところは積極的に取り入れていきたいと思っています。
類家様 同業他社でもRFQクラウドを使ってほしいですね。使っている方々のユーザー会みたいなのが立ち上がって、いろんな意見を交わしたりとか、どういう仕事の仕方しているのかということを聞いてみたいです。A1Aさんには、そういう企画も期待しています。
今はまだルーチン業務がかなり多いですが、その中でも通常の手配業務は人の手からITテクノロジーへと移っていくのだろうと思っています。それでも、交渉やサプライヤーと一緒に調達戦略を練っていくのは、人の仕事だと思うんです。
澤田マネージャー 私もサプライヤーさんとの折衝・取組は人の役割だと思っています。長くサプライヤーさんと取引を継続していくには、WIN-WINの関係を保てるようなコストリダクションを目指していきたいと思います。とても難しいことですが。他の進んでいる業界に学び、サプライヤーへの指導や協力関係の中で生産性向上を図り、「共存共栄」を考えていく。こういったサプライチェーンを作り上げていきたいです。これこそ人と人で作り上げるものだと思いますね。
そのためにも、RFQクラウドのコンセプトでもある「購買担当者を煩雑な業務から解放し、戦略的で価値のある業務にシフトさせる」世界をA1Aさんと一緒に実現していきたいです。今後とも、よろしくお願いします。
INTERVIEWEE
購買部 購買グループ マネージャー
澤田 一之様(トップ写真中央)
購買組織をマネジメントする立場として、部署全体の生産性向上を目的とし、RFQクラウド導入プロジェクトを推進された。
購買部 購買グループ チーフ
類家 晋様(トップ写真左)
原材料購買業務とIT活用による業務改善を担当 RFQクラウド導入プロジェクトを牽引し、サプライヤーの導入サポートを実施
システム部 アプリケーショングループ
杉友 直樹様(トップ写真右)
ビジネス環境の変化や情報技術の進展に企業としてIT戦略策定、構築、評価、維持運用 に従事。 RFQクラウドでは、選定から稼働までプロジェクトを強く牽引。
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