RFQ

【株式会社サンコーシヤ様】引き合いから受注まで見積情報のスムーズな連携によって年間5,000万円のコストダウンに成功

株式会社サンコーシヤ様

事業内容
電気通信機器の製造、販売、雷害に関する調査、研究、コンサルティング
年商
165億4,300万円(連結, 2021年3月期実績)
購入品目
電気・電子部品、製造委託(板金加工、プレス加工品、樹脂成型品)など

課題
引き合い時の原価積算精度が低く、受注後に大きな原価差異が発生していた
見積業務に割ける時間が短く、十分な見積検討ができていなかった
過去の見積情報や交渉経緯が蓄積されておらず価格交渉・決定が属人化していた

ゴール
調達部と生産管理部で正確な情報連携を行い受注後の原価差異を抑制
相見積業務の圧縮と過去見積データ活用による調達部全体の生産性を向上
見積経緯・結果の自動蓄積・検索により調達部全体での価格交渉・決定精度向上

株式会社サンコーシヤは避雷管や保安装置の開発・製造・販売といった雷防護を基軸として、観測・調査から製品の提供・工事までトータルに提案する世界唯一の「総合雷防護企業」です。サンコーシヤでは調達機能のさらなる強化の取り組みとしてRFQクラウドを導入しました。

今回はRFQクラウド®︎導入前に抱えていた課題やシステム活用を通して得られた効果についてお話をお伺いしました。

世界唯一の「総合雷防護企業」

———貴社の事業のご紹介を頂いてもよろしいでしょうか。

野口様 株式会社サンコーシヤは世界唯一の「総合雷防護企業」として保安器・落雷位置評定システムや通信関係のインフラ機器などの製造販売を行っております。
1998年の長野冬季五輪でオフィシャルサプライヤを務めたこともあり、スポーツ開催日の雨雲・雪雲の位置を評定・予測するシステムを提供した実績がございます。今年の東京五輪でも競技場向けに機器を納入しており、見えないところで弊社の製品やサービスが大会の開催に貢献させていただいております。

———RFQクラウドの活用状況を教えていただけますか。

田井様 弊社の製品にはお客様ごとの仕様にカスタマイズする受注生産品と、カタログに掲載する標準品の2種類がございますが、特に前者の受注生産品の構成部品の調達でRFQクラウドを活用しています。
受注生産品の調達においては、調達部と生産管理部がそれぞれ引き合い時・受注後の見積取得・比較・サプライヤ決定・原価積算で利用をしています。
引き合い時では営業部門から来た構成部品の見積取得依頼に対して、調達部が複数サプライヤに相見積を取り製品原価の積算を行う際に利用します。受注後では、生産管理部が引き合い時に調達部が取った見積を参考にしながら、価格と納期の両面で発注先サプライヤを選定する際に利用します。

引き合い時点での原価積算精度、受注後に大きな原価差異が発生

———RFQクラウドの導入前に感じていた課題は何ですか?

野口様 受注生産品の調達における一番の課題は、引き合い段階で客先提示用に積算した製品原価と受注後に実際にかかった製品原価の間に大きな差異が発生していたことです。
原因は、引き合い時に調達担当者が取った構成部品の見積価格が、受注後のサプライヤ選定と発注を担当する生産管理部の担当者に正確に共有できていないことでした。
受注前にあるサプライヤから取った見積価格で営業と合意していたにもかかわらず、その経緯が共有できていないために受注後に違うサプライヤに発注してしまう、というようなことが起きていました。

———なぜ情報が共有できていなかったのでしょうか。

田井様 もともと調達部を経由して見積もりを取得する業務フローが確立されていなかったため、個々の営業担当者が自分で見積もりを取ったり、営業担当者と調達担当者の個人間で見積もりのやりとりをしたりしていました。その結果、取得した見積もりの情報やサプライヤとのやりとりの経緯は各個人に依存し、属人的に管理されていました。
第三者には調達担当者と営業担当者とのやりとりが確認できず、受注後に生産管理部で再度見積もりを取り直すなど無駄な業務が発生していることもありました。

見積業務に膨大な時間と手間がかかり十分な見積検討ができていなかった

———その他に感じられていた課題はありますか?

玉様 受注生産で提供する製品は納期がかなりタイトで調達部品が多いにも関わらず、受注を勝ち取るために原価を抑えた調達をしなければならないという、調達部の生産性に課題がありました。
各調達担当者は毎日10案件300品以上の見積業務を行っています。過去に見積もりを取得したことのある同一・類似品であっても、過去の情報が共有されていないことで、その都度新しく見積もりを取得する必要がありました。それに加え、サプライヤとの過去のやりとりはメールを遡らなくてはならなかったため、見積業務にかなりの時間と手間がかかっていました。その結果、相見積や過去見積を用いた価格交渉などの見積検討が十分にできていませんでした。

見積業務のベストプラクティスをクラウドシステムで実現

来住様 システム導入検討時の大きなポイントとして、部門間での情報共有ができることと、見積データを蓄積できることの2つがありました。
RFQクラウドに決めた理由は、この2つを実現することに加え、「調達部門の見積業務に特化したシステムであること」と「クラウドシステムであること」です。
システム選定時には自社開発も検討していました。自社開発には、現行の業務フローや要望をもとに機能をカスタマイズすることができるというメリットがあります。しかしながら、当時は調達部門として見積業務のベストプラクティスもわからない状況でした。購買調達部門の見積業務に特化したRFQクラウドを活用することで、A1Aが持つ調達業務の知見をもとに自社の要件や実現したいことを洗い出すことができると考えました。
また将来的には、調達部と生産管理部だけでなく、営業、設計、技術部にも情報連携ができるように活用の幅を広げていきたいと考えていました。そのため、インストール不要のクラウドサービスという点は、活用を広げていく上で重要になると考えました。

見積業務をクラウド上で完結しデータを共有することで、見積業務工数を大幅削減

———RFQクラウドの導入効果について教えてください。

田井様 相見積にかかる工数を25%~35%削減できる感触を感じております。RFQクラウドを導入して1年弱ですが、今まで一件一件メールや電話で見積依頼・回答受領・集計といった作業をクラウド上で完結できることで、業務がかなり簡単になりました。
見積もり自体を取らなくてよくなったケースもあります。RFQクラウドには過去の見積価格を部品の製造元や型式で検索できる機能がありますが、見積有効期限が切れていない部品であれば、いちいち見積もりを取り直さなくても部品単価が把握できます。有効期限が切れていても同じ内容であれば再送信、又は新規業者を選択して再送信、再検証を簡単に依頼することができるようになりました。

玉様 今まではメールのやりとりだったため、過去の見積情報はサプライヤ毎に一件一件探す必要がありました。RFQクラウドを活用することで過去に類似品の価格がいくらだったかをすぐに確認できるので、サプライヤとの価格交渉の中で参考となる価格情報をすぐに確認できるようになりました。

見積情報のスムーズな連携で年間5000万円のコストダウンを実現

———RFQクラウドの導入効果について教えてください。

田井様 RFQクラウドの導入から、年間で約5000万円のコストダウンを実現しました。
これまで標準品のコストダウンには取り組んできましたが、一品一様の受注生産品は短納期かつ価格の基準となるデータもなかったため、サプライヤの言い値で価格がある程度決まる部分が少なからずありました。RFQクラウドで取得した詳細な見積もりや過去のデータを活用することで、一品一様の製品のコストダウンにも取り組むことができるようになりました。

来往様 特に大型案件があるとRFQクラウドによる効率化のメリットは大きいと感じています。RFQクラウド導入以降に受注した大型案件では、きちんと工数を掛けて相見積を実施することができました。部品の仕様が変わった際に見積もりを取り直したり、複数パターンの納期回答を取ったりといった余裕が生まれました。
営業からの見積取得依頼件数は増えているのですが、見積もり1件1件にかかる工数が削減されたことで調達部の人員を増やすことなく対応できています。

見積データを活用し、引き合い段階からコスト低減余地を提案していく

———今後の展望を教えてください。

来住様 弊社の製品出荷割合は6割が標準品、4割が受注生産品で構成されており、標準品の方が大きな割合を占めています。それにもかかわらず、調達部員の見積業務工数のおよそ7割が煩雑な受注生産品向けの調達業務に費やされてしまっていました。
当然ではありますが、一品一様の受注生産品よりも、標準品のコストを下げる方がコストダウン効果の効果は大きくなります。そのため弊社としては、RFQクラウドを利用して削減できた見積業務の工数を、本来注力するべき標準品の価格査定・コストダウンに振り向けていきたいと考えています。

田井様 RFQクラウドに蓄積した見積データを活用して最適な部品やサプライヤを調達部から提案していくことで、より良いものづくりの実現に貢献していきたいと考えています。
また、今の会社の方針として、受注生産品を減らして標準品の割合を増やしていこうという標準化の動きがあります。類似部品をまとめて標準部品に統一していくことで調達ボリュームを確保し、スケールメリットによるコスト削減を実現することを目指しています。そうした取り組みに対しても、「社内で最もサプライヤの情報を持っている部門」である調達部が貢献していきたいと考えています。

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