【三桜工業株式会社様】購買部門の情報共有を強化し、見積査定の精度を大幅に向上。より良い品質の製品を、最適な価格で調達する
三桜工業株式会社は自動車のブレーキや燃料システム、エンジンシステムに用いられる車輌配管製品などを手掛ける大手の独立系自動車部品メーカーです。三桜工業では見積情報や交渉経緯の属人管理の脱却、データを活用した調達活動の実現などを目的としてRFQクラウドをご導入されました。今回、導入前に抱えていた課題や、RFQクラウド活用を通して感じているメリットなどについてお話をお伺いしました。
三桜工業株式会社様
自動車・輸送用機器用部品の製造・販売業 etc.
1136億5700万円(2021年3月期)
金属加工品・樹脂成形部品・ゴム成形品など
1. 見積情報や交渉経緯が担当者ごとに属人管理されている
2. 価格査定に必要な情報が蓄積されていない
3. 見積業務が煩雑で業務の無駄が多い
自動車の根幹を担う部品を製造
———貴社の事業について教えてください。
伊東様 三桜工業株式会社は、主に燃料やブレーキの配管、エンジンの冷却用部品といった自動車の根幹を担う部品を製造する会社です。製造設備を一部内製するなどし、社内で一貫して行えるような体制をつくっています。
海外では20か国に製造拠点を構え、日本国内と変わらない高い品質の製品をグローバルに提供していることは弊社の強みです。そんな背景もあり、多国籍でダイバーシティに富んだ社風も弊社の特色の一つとなっています。
三桜工業では、他にも様々な顧客ニーズに基づいた製品やサービスの研究・開発を行っています。最近は全固体電池の開発を行うなど、次世代のエネルギーに関わる分野での研究開発も進めています。また、2020年には当社の冷却用配管部品が、スーパーコンピューター「富岳」の冷却システムに採用されました。このように、自動車部品製造で培った技術力を応用して、自動車向け以外の様々な分野にも貢献しています。
———RFQクラウドを導入した部署について教えてください。
箕浦様 調達を担うSCM本部は、下記の4部門に分かれます。
SCM企画部: 原材料の調達と調達組織全体の企画
第1SCM部: 金属プレス品や切削品の調達
第2SCM部: 樹脂部品やゴム製品の調達
第3SCM部: 外注加工等の管理
現在、第1SCM部と第2SCM部でRFQクラウドを活用しています。
購買業務では、やはりサプライヤとの関係構築が重要となります。三桜グループとしてより良い製品をつくるために、公平公正な取引と双方が意見できるような環境づくりを大切にしています。これは、私自身20年以上営業を担当してきたことで、営業と調達どちらの思いもわかるからこそ強く思っていることなのかもしれません。
———調達組織として重要視していることはなんでしょうか。
伊東様 コスト・品質・デリバリーの3要素を担保することは調達組織として常に意識していることですが、数年前まで特にコストを重視する傾向にありました。しかしながら、ここ数年ではより良いものを最適な価格で調達することに重きを置いています。調達機能においてコストは非常に重要ですが、ここ数年は産業自体の変化と共にコストの考え方が変わってきていると感じています。特に製品トレンドや技術の移り変わりが激しい自動車業界では、時間軸のある一点におけるコストだけで良し悪しを判断することは難しいのです。例えば製品モデルごとなど、より長期的な軸におけるコストを見ていくことが重要となってきています。
箕浦様 コストだけを追い求めてしまうと、品質面に影響が出るなど製品の安定した供給につながらなくなる可能性があります。より良い品質の製品を、最適な価格で調達する。ここ1,2年は、特にそれを重視しています。
見積査定に必要な知識・情報が共有されておらず、価格査定のスキルを身につけることが大変だった
———調達業務にはどのような課題を抱えられていたのでしょうか。
間宵様 一番課題に感じていたことは、見積もりに関するデータが蓄積、共有されていないことでした。
私は2年前に入社し初めて調達業務を担当したのですが、過去の情報が残されていないことで、価格査定に必要な知識やノウハウを身につけることにとても苦労しました。
見積書のやりとりは全て紙ベースで行われていたことに加え、各案件はその都度担当者に割り振られていたことで、過去に誰がどのサプライヤとどのようなやりとりを行っていたのかが確認できない状況でした。
過去の情報が確認できないことで、過去に取引のあったサプライヤから価格の変動について問い合わせが来たりしたことがありました。
高野様 見積データが共有されていないことで、見積査定業務は経験の差に左右される面が大きかったのだと思います。私は前職でも樹脂・ゴム製品の購買を担当していたため、ある程度生産方法や加工時間などの知識があったのですが、三桜工業ではその基準を持っている担当者が少ないように感じていました。もちろん、経験の豊富なメンバーはその知識を持っているのですが、情報が共有されていないことで、購買組織のノウハウとして蓄積されていませんでした。その結果、経験が浅いメンバーは価格以外の要素から査定することに苦労していたのだと思います。
見積情報のデータ化・共有と煩雑した業務フローの見直しをどちらも実現してくれるのがRFQクラウドだった
伊東様 実際に業務を担当するメンバーがそうした課題を感じていたのは、業務フローの見直し・周知徹底がされていなかったことも一つの原因だと感じています。
私が調達部門に異動してきた2015年ごろは、組織編成前ということもあり今以上に調達業務が煩雑でした。
購買組織の話でも少し触れましたが、近年、自動車業界においては産業の構造そのものが変わってきています。大量生産が当たり前であった当時は「ものを安定的に確保する」ことに主軸が置かれていましたが、今では品質の高さに主軸が置かれるようになりました。そうした産業の変化に対応しきれない加工メーカーが現れたことで、調達部門は不足した部品を確保するためにサプライヤの生産能力を追いかけることに多くの時間を費やしていました。そのためコスト精査に十分な時間が割けておらず、見積業務フローの見直しに手をつけられていなかったのです。
RFQクラウドに魅力を感じた点として、価格精査に必要な見積もりの情報をクラウド上で一元管理できることももちろんですが、今まで手をつけられていなかった見積業務そのものの見直しのきっかけとなったことも大きなポイントでした。
———RFQクラウド導入のきっかけはなんだったのでしょうか。
伊東様 2019年2月にものづくり関連の展示会を訪れたメンバーの一人が、RFQクラウドのブースにたまたま立ち寄ったことがRFQクラウドを知ったきっかけでした。
もともと見積業務の煩雑さや査定の精度に課題を感じていた私としては、今までと同じことを続けていても何も変わらないと思い、RFQクラウドに興味を持ちました。
箕浦様 やはり価格の査定や担当者の業務負荷といった問題ももちろんですが、調達部門の役目はやはり「最適価格による調達」に向けられると思います。データを活用し根拠に基づいた価格交渉を実現することは最適価格の実現にも大きく関わってくるため、見積業務の改革に向けたシステム導入は必要不可欠な取り組みでした。展示会でのRFQクラウドとの出会いは、その思いを行動に移す大きなきっかけを作ってくれたと感じています。
システム選定の決め手は、機能が「見積もり」に特化していたこと
———システム選定にあたって決め手となったポイントを教えてください。
陣内様 我々に必要な「見積もり」の機能に特化していた点が良かったです。生産管理などに付随したシステムは他にもありましたが、そのような大規模なシステムになると価格もかなり高額になります。求めていた機能だけに特化していること、価格が他と比べて安いことが大きな決め手となりました。
伊東様 機能が限定されたクラウドシステムなので、導入までの期間が短いことも魅力の一つでした。大規模なシステムを数年かけて導入するとなると、後戻りできなくなってしまいますしね(笑)
箕浦様 クラウドシステムのもう一つの特徴としてどんどん機能がアップデートされていくこともあり、こちらの要望に真摯に向き合ってくれるA1Aの姿勢にも好感を持ちました。導入推進時には、弊社の課題に合わせた活用の提案やフィードバックが返ってきて、自分たちでは気づかなかったことを学ぶことも多くありました。共により良い成果を出していくというチーム感もあり、導入推進のプロセスはとても楽しかったことを覚えています。
社内の情報共有を強化し価格査定の精度を向上することで、「より良いものづくりの実現」に貢献
———RFQクラウドの導入効果を教えてください。
間宵様 最も感じるメリットは、見積データの一元管理と情報の共有です。今まで見積もりをした担当者本人しか持っていなかった見積書の情報をクラウド上で管理することで、前任者や他の担当者の案件や過去のやりとりがすぐに確認できるようになりました。価格交渉に必要な情報にいつでもアクセスできることで、価格査定の精度が大幅に向上しました。
また弊社では、サプライヤとより良い製品を開発し、品質・コスト・デリバリー全ての要素を最適化するための取り組みとして、より早い段階でのサプライヤ選定と先方へのフィードバックを大切にしています。今まで徹底できていなかった採用・不採用の通知やフィードバックをシステムを介して簡単に送れるようになったことで、サプライヤとの信頼関係構築にも役立っていると感じています。
高野様 その他にも、「見積依頼・サプライヤからの回答受領〜査定〜承認」といった一連の相見積業務をクラウド上で完結することで、見積業務1件にかかる時間を約65%短縮することができました。これは、部内では月に約86時間の工数削減につながりました。
———RFQクラウド活用に対して、サプライヤからはどのような反応がありましたか。
間宵様 もともと紙ベースでやりとりしていたこともあり、最初はパソコンの操作に慣れないことによる使いづらさは一部あったようです。しかしRFQクラウドの活用に慣れた頃には、サプライヤ側でも過去のデータにアクセスできることが嬉しいとの声がありました。やはりサプライヤ側でも担当者の変更は発生しますし、案件ごとの採用・不採用状況の確認や管理に役立っているそうです。
間宵様 今回のRFQクラウドの導入によって、「より良いものづくり」を実現するために必要不可欠であるサプライヤとの信頼関係の構築ができる環境が整ったと強く感じています。今まで部門内で情報が共有できていなかったことで、「三桜工業の調達部門」が各サプライヤとどのような取引をしているかが把握できない状況でした。情報の一元管理と共有を強化したことで、サプライヤからの信頼を得るための材料が揃ったと思います。今後は、継続した信頼関係の構築から、サプライヤと協力したより良い製品づくりに貢献していきたいと思います。
蓄積したデータを活用し、最適価格での調達を目指す
———今後の展望について教えてください。
陣内様 見積データを一元的に管理できるようにはなりましたが、そのデータを効果的に活用した最適価格による調達の実現にはまだ課題が残っています。
以前、RFQクラウドに蓄積した金属加工部品の原料・加工費等のデータを用いて、A1Aに比較・分析のサポートをしていただいたことがありました。紙で情報を管理していた時は各担当者の経験値に頼るしかなかった情報を可視化し分析することは、今後のコスト削減への取り組みにつながる非常に有効な手だと感じています。RFQクラウドを活用することでその土台となるデータの蓄積が可能となりました。今後はそのデータをより有効的に活用できるようにしていきたいと考えています。
———ぜひ、我々もお手伝いさせてください。本日はインタビューにご協力頂きありがとうございました。
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※同業他社様からのお申込みはお断りさせていただいております。あらかじめご了承ください。
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